●免疫力増強の主役はメシマコブの多糖体
以上の免疫力増強効果は、メシマコブの何からもたらされるのでしょうか。結論からいえば、免疫力を増強させるもととなるむのは、メシマコブに含まれる多糖体です。 キノコ由来の健康食品でよく登場してくる多糖体とは、単糖がいくつも結合した高分子(分子量が大きい) 化合物のことで、たとえば、ブドウ糖だけで結合したものをグルカンといいます。 糖質(炭水化物)は、タンパク質、脂質とならぶ三大栄養素のひとつで、重要なエネルギー源です。糖質にはいくつかの種類があり、最も簡単な構造をしているのがブドウ糖、果糖などの単糖類です。
単糖類が2つ結合したものがショ糖(砂糖)などの二糖類。さらに単糖分子の結合数によって三糖、四糖、五糖……というように表現し、十糖までをオリゴ糖と呼びます。そして十糖以上のものを「多糖類(多糖体)」と呼びます。一般にキノコには、その種類によってβ・グルカンをはじめ、α・グルカン、酸性ヘテログルカン、キシログルカンなど、いろいろなタイプの多糖体が含まれています。 メシマコブにもβ・グルカン、α・グルカン、酸性ヘテログルカン、キシログルカンなどの多糖体が豊富に含まれています。 中でも、β・グルカンに抗がん効果、免疫増強効果があるといわれています。メシマコブ茸には、β・グルカンの量が群を抜いて多く含まれています。
メシマコブは強力な免疫増強効果をもっており、マクロファージなどの、ウイルスや細菌に対する免疫細胞だけでなく、がんに対抗するT細胞やNK細胞(NKはナチエラル・キラーの頭文字) の数を増大させる点が、最も注目されています。 実際、腹水がんを移植したマウスに栽培した子実体のエキスを与えた実験では、高いパーセンテージで寿命を延長できました。
臨床においても、化学療法と併用してメシマコブエキスを与えると、抗がん剤による副作用を軽減でき、手術をした患者さんも、メシマコブエキスで術後の経過がぐんとよくなったといいます。一般的に抗がん剤などは、人間の体内に巣食うガン細胞を直接たたきのめす働きをするものですが、メシマコブの場合は、がん細胞の増殖を直接抑えるわけではありません。 メシマコブは、人間の体内に本来備わっている免疫機能を活性化させ、結果的にがん細胞の増殖を抑えるのです。 がんを抑える場合、直接たたきのめすかどうかは、あまり問題ではありません。最終的にがん細胞が消滅すればいいのです。
メシマコブに含まれるβ・グルカンは、がん細胞めがけての攻撃はしませんが、免疫機能を活発化させ、活性化した免疫細胞ががんをたたきのめしてくれるのです。こうして結果的にはβ・グルカンががん細胞をやっつけたということになります。 しかしその作用は強力です。そのために、メシマコブは”がんの特効食〃とも呼ばれているのです。